内田彩さんの「声」について

はじめに

本記事は、内田彩さんの「声」を聴いた感想と妄想を備忘として記すものです。ハイレゾ音源も買ってみたので、その感想なども含んでいます。

 

なお前提として、

  • 私はあまり内田彩さんに詳しくないです。afraid...、グロー、Reverbが好きです。
  • 私は楽器も音楽も歌も声優もあまり詳しくないです。

 

総文字数 約5000文字

想定読了時間 9分

 

曲の簡単な紹介

open.spotify.com

内田彩さんの「声」は、シングル「Reverb」のカップリング曲です。

作詞作曲はhisakuniさん。

楽器構成はピアノとバイオリンがメインで、ベース・ギター・ベル?などから成っており、どの楽器もかなり生々しくカッコいい音を鳴らしています。そして曲タイトルの通り、声を全面に出した使い方をしているのが特徴的です。

 

ちなみにシングルタイトル曲「Reverb」(MV)は「インフィニット・デンドログラム」という現在放映中のアニメのEDであり、作品の世界観を見事に描いた歌詞とMVになっています。

ちなみに私の一番好きな小説がインフィニット・デンドログラムなのですが、先日Reverbを聴きながら歌詞を読んでいたら好きな作品がアニメになって素晴らしいアニソンを作ってもらえた事に感激して号泣してしまいました…。

 

「声」はハイレゾとノンハイレゾの違いが比較的分かり易い曲だと思うので、興味があれば聴き比べてみるのも楽しいと思います。

 

 

感想

いきなりですが以下、曲の中の時系列に沿って感想を並べていきます。

実際に曲を聴きながら読むと更に楽しいかもしれません。

 

※x分x秒という表記はmoraで買ったハイレゾ音源を元にしているのですが、今Spotifyでノンハイレゾを聴いてみた所ハイレゾの方が1秒くらい開始が遅いみたいです。なので表記と実際のタイミングに1秒程度の誤差がある事をご承知ください

 

 

<歌い出し~>

 

・ピアノがとにかく気持ち良い。最初は踊るように弾いていて、「耳を澄ませて」という歌詞を乗せています。

 

・ノンハイレゾではここのピアノは柔らかめの音になっていて、まるで夢の中のような印象を受けますが、ハイレゾは硬めの生っぽい音になっていて、自分の目の前で演奏されているような迫力があります。

 

ハイレゾだとvoの中の擦過音成分がよりはっきり聴こえます。そのためvoの物理的な反響感が増していて、目の前で収録しているような耳元で歌ってもらっているような臨場感が増しています。ピアノと合わさるのがまた一段と気持ちが良いです。

 

・使っている音階、テンポ、エコー的に少しRADWINPSの「スパークル」に似ていて、「君の名は」の世界観を「声」の歌詞の「過去が今に繋がっている」とか「心の声」とかに掛けてるんだとしたら天才だと思うけど流石にやらないか…。

 

 

<5秒~>

 

・ピアノが急にvoにタイミングを合わせてきます。直前はただ何と無しに踊ってたようなピアノが「耳を澄ませて」という歌詞の直後にこのような挙動を取るため、ピアノとvoを急激に意識させられる瞬間です。

 

・まるで、人間だと思っていなかったピアノから突然話しかけらてしまったような、内田さんから突然語りかけられてしまったような、そんな印象を抱きました。

 

・出だしのピアノの綺麗さとこのピアノの挙動を聴いた時点で私の本曲への期待感が跳ね上がりました。

 

 

 <8.5秒~>

 

 ・「もう迷わないように」の寸前で、突然ノイズが乗ってきます。

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・手前のvoパートと後ろの「もう迷わないように」が別撮りで、「もう~」の手前の余白にノイズが含まれていて、ノイズを含めてペーストしてノイズを消さなかった…ように思えます。ノイズと一緒に吸気音が入っているというわけでも無さそうです。

 

・ノイズも使い方によっては例えばラジオ感とかノスタルジーとか過去感とか別人感の演出になると思いますが、歌詞の節のと真ん中なのでそのような使い方では無さそうです。歌詞的には胸に手を当てた時の衣擦れという解釈も…いや無理かな…。

 

・このノイズはこういう解釈が出来るよ、などあれば是非教えてほしいです…。

 

・ノンハイレゾハイレゾどちらにもこのノイズは収録されていますがハイレゾの方が鮮明に聴こえます。

 

・それはさておき、前後でvoを別撮りしているという事は、後ろの「もう迷わないように」を何度も歌い直していたのではないでしょうか。ここはイントロ末の極めて重要な歌唱部分なので、そこをより良いものにしようという熱意が伝わってくるようで少し心温まりました。

 

<9秒~ >

 

・「もう迷わないように」

 

・「私はもう確かに進んで行ける」とでも言うかのようにそれまで傍らに居た綺麗なピアノを置き去りにして、「声」のみを聞かせに来ます。「耳を澄ませて」と歌った後のこれはカッコよすぎて笑いそうになってしまいました。

 

・この歌詞を踏まえると、イントロからここに至るまでの踊るような、voに寄り添うようなピアノの動きは「迷い」を表しているようにも思えます。余りにも清く美しい迷いだとも思えますが…。

 

・ノイジーに聞こえやすいであろう擦過音気味のこの声質とこの声量で、音割れさせずに不快感を生まずにひたすらカッコいい声を貫き通せるの、本当にカッコいいですね。

 

・ピアノだけに注目すると「も」の真ん中で露骨に急激にフェードアウトしているのですが、全体的には自然でカッコいい仕上がりになっていて、完璧に噛み合った歯車を見たような満足感があります。

 

(・ここからの声質と楽器構成と展開が少し昔のsupercellっぽくてかなり刺さるというのは否定できない…。)

 

 

<24秒~>

 

・ウィンドチャイムみたいなベルみたいな音 → 「かじかんだ」

 

・ウィンドチャイム鳴らされるだけでもう冬っぽいというか…クリスマスっぽいというか…いずれにせよ「かじかんだ」に文脈的な納得感が増しています。

 

 

<24秒~>

 

・「かじかんだ声が心に微かに響いた」

 

・ある程度一定のリズムで鳴る、エコーを掛けられたピアノは、心の中の片隅から去来する響きのように聴こえます。

 

 

<30.5秒~>

 

 ・歌詞の「響いた」に合わせて、ピアノのエコーがかなり強く響いて聴こえます。オシャレ過ぎる。

 

・エコーは24秒~の時点で掛けられているし27秒でも一度強めに掛けられているので、「段々響きが大きくなってくる」感が演出されています。

 

 

<32.3秒~>

 

 ・「気が付かない振りしてたんだ」に合わせて、ベル?が鳴っています。

 

・このベルから無邪気さ、清純さ、恥じらいのようなものを感じる為ためベルがここで使われている事にかなりの納得感がありますが、ベルが醸すこの感覚って一体何に由来するんですかね…。(それともこの感覚を得ているのは私だけなのでしょうか…)

 

 

 <36秒~>

 

・エレクトーン?参入。ドラムとピアノとヴァイオリンとvoを下から支える低音めちゃくちゃカッコいい…。

 

 

<48.2秒~>

 

・曲中に3度あるうちの1度目の「本当は 本当は」

 

・後の2回は割と技巧的になっている(後述)のですが、ここでは驚くくらいごく普通の調子で歌われています。恐らく、続く歌詞である「小さく呟いてみても」の表現の為です。

 

 

<57秒~>

 

・ずっと手前からバイオリンが居るのですが、ここでバイオリンが速いテンポで鳴らした後最後に1音鳴らす →voのみ →59秒でピアノが1音鳴らす →バイオリンがすぐに追ってくる の流れ、各役者の見せ場が作られてるみたいでめちゃくちゃカッコいいですね…。

 

 

<59秒>

 

・ピアノが1音鳴らす時の波形が断崖絶壁で少し面白い。時間が止まって声だけが聴こえるような空間感を作るのに一躍買ってる気がします。

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<1分12.5秒~>

 

 ・バイオリンが、ハイレゾだとかなり精細と人間味がある。情熱を感じる。ノンハイレゾだともっと柔らかく丸い音に聴こえる。個人的にはノンハイレゾの方がかなり好きです。

  

 

<1分22.3秒~>

 

・「聴こえるはず」

 

・「聴こ」は他楽器と被ってるから置いといて、「え」からの音がかなり綺麗に整えてある。この調整が、遊びのようなものを削ぎ落として声音の芯だけを残してある種の圧力を感じさせているんでしょうか。よく分からないけどカッコいい。f:id:must2step:20200326024332p:plain

 

 

<1分28秒あたり~>

 

・ピアノとバイオリンとドラムの裏にかなり鋭いギターが面白い動きしてる気がするけど私の耳じゃよく分かりませんでした…。

 

 

<1分36秒あたり~>

 

・左にバイオリン、中央に内田さん、右にギター。気持ち良すぎる。バイオリンもギターもハチャメチャにカッコいいフレーズ弾いてるから単純に重ねたら殺し合いになりそうな所を左右に分けてるからどっちもちゃんと聴けてお得感。当方左右振り大好き侍。そしてカッコいい左右を中央で融和させる内田さんの声の素晴らしさですよ…。

 

 

<1分59秒~>

 

・2回目の「本当は 本当は」

 

・内田さんのメインvo✕コーラス気持ちよすぎる!!!!!!!!!

 

・しかも続く歌詞が「願いを声にのせてみる うわずったって」なので、恐らくこの声✕声の組み合わせは歌詞を表す表現になってる……カッコ良すぎる……。

 

 

<2分34.5秒~>

 

・「あるーーってー」

 

・ここの音作りが凄い気がします。ノンハイレゾだと声が若干柔らかくなってるから多分大きな感慨は無いんですが、ハイレゾで各音がはっきり聴こえるようになった結果、その凄さが改めて分かります。

この「あるーーって」の発声と声質と大きさを音割れさせずに不快に思わせずに歌うの本当に凄くないですか。もしくは内田さん側じゃなくて編曲側?が直したのかもしれませんが、それもここまで気持ちよく調整したんなら凄い…。

 

・ここで内田さんの横にいるのがドラムとバイオリン(両方高音)だからそれも全体的に音を酷くさせる一因になりえていた筈で、ここの調整本当に凄い気がする…。

 

 

<2分52.5秒~>

 

・ここ面白いですね。曲中の似た他の部分では急激なvo以外の無音を伴っていますが、ここはそうではなく、故に曲から地続きになってる感が強い。
無音を期待してると一瞬違和感がありますがそれこそが狙いだろうし良いアクセントになっています。

 

 

<3分10.5秒~>

 

・3回目の「本当は 本当は」

 

・ここの声だけ、エコーが強い。

 

・エコーによる残響感にReverbが掛かっている…なんて事は流石に無いはず…。

 

・この後にはただでさえ強烈な「欲しかったんだ」という声が繋がってくるのですが、エコーを掛ける事で1,2回目と比べた時の変化を生みつつ、「欲しかった」の衝撃を最大化する効果があるように感じます。そこまでやるか。

 

・同じ歌詞を曲中3箇所に配置して全て異なる歌い方させるのカッコよすぎませんか…?

 

 

<3分20.5秒~>

 

・ドラムの音がメチャクチャ潰れてる。ハイレゾで聴くとノンハイレゾよりはドラムとして聞ける…がやっぱり潰れてはいる。

 

・…と思ったらこれ続く歌詞は「言葉にならない」なんですね。…その表現の為に敢えて潰れたドラムを残している…? もしそうだとしたらもはや正気とは思えない仕込みですが…これまでの曲と歌詞のリンクのさせ方を考えると態とやっているようにしか思えない……凄すぎる……。

 

・このドラムが「言葉にならない」を表していると改めて考えると、この潰れた音が別の光景にも見えてくる気がします。まるで、涙と嗚咽に崩れて次の言葉が言葉にならないかのような、胸がいっぱいになって次の言葉が言葉にならないかのような。

 

・一回目の「言葉にならない」と二回目の「言葉にならない」の理由が真逆になってるとか、素敵過ぎませんか………。

 

 

<3分34秒>

 

・バイオリンの展開が良すぎる。段階的に音変えながら忙しく鳴らした後ドラムとベースと声に合わせて動くの気持ちよすぎる。

 

 

おわりに

内田彩さん、良いですね。

・初めて聴いた時は正直あまり刺さらなかったのですが、色々聴くに連れてその柔らかい高音に綺麗で力強い芯が包まれているような声質とその歌声の幅の広さの良さに気づいた次第です。

・まだBitter KissとEphemeraくらいしか知らないのでもっと漁っていきたいです。先日の武道館ライブ無料配信も拝見しましたがafraid...が生歌唱も強くてかなり良かったです。